マイクル・コナリー『ブラック・アイス』(1993)

ブラック・アイス (扶桑社ミステリー)

ブラック・アイス (扶桑社ミステリー)

マイクル・コナリー第二作。正直、この時点でここまでの作品を書いていたということに戦慄を覚える。犯人によって幾重にも仕掛けられたミスディレクションの切れ味や、プロットワークの巧みさなど見るべきところは多い。多くは語らないハリー・ボッシュの心の奥底に閉じられた人間性が徐々に露呈してくるあたりも素晴らしく、カル・ムーアと己の相似、そして大きな違いが物語に深みを齎している。ある意味、シリーズの終着点の一つと言えそうな作品だが、ここに甘んじず、さらに前に進んだ作者に敬意を払いたい。(11/18)

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アメリカ・メキシコの麻薬問題を取り扱った作品として、非常に良く出来た作品であると思います。後半は、ミステリというよりは、映画的なエンタメに傾いていきますが、楽しく読むことができました。どうでもいいことですが、コナリーの翻訳の中で唯一の一巻本ですね。